紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
連絡先:kiikankyo@zc.ztv.ne.jp 
ホーム メールマガジン リンク集 サイトマップ 更新情報 研究所

 

  「害虫防除の常識」     (目次へ)

2.有害生物(害虫)管理にあたって守るべき事柄

  1) 農業生産者として守らなくてはならないこと

 前章の「害虫とは」で、農業を行う上でやっかいな害虫の類別や種類について述べ、作物ごとに多くの害虫がいることを学んだ。本章では、農業を行う上で避けて通れない害虫管理にあたって、農業生産者として、守らなくてはならない事柄について述べてみる。

 よく新聞などで報ぜられているように、最近の企業経営の中には、法律に違反する行為をしたり、社会に対してうそ・偽りを言ったり、社会や環境に対して迷惑をかけたりして、法律で罰せられるばかりでなく、その商品の販売が出来なくなって、会社が立ちゆかなくなるなど、社会的に厳しい制裁を受けている例がみられる。農業経営においても、食や環境の安全性向上、消費者重視の観点から法律が改正されるなど、これまで以上に法律遵守と倫理性が厳しく求められるようになってきた。

 農業は、自然を相手に、自然の恵みを得て農産物を生み出し、その生産物を消費者に喜んでもらうという人間としての根源的な価値を内包した営みである。このような価値観を持って農業を営むならば、法令遵守などといったこととは無縁であるとも思われる。しかし、農業においても、農業生産者が学んでいかないと、知らず知らずのうちに、食の安全性にかかわる事故を起こしたり、環境への負荷をかけ過ぎたりしてしまうことがある。

 農業経営を社会的に安定的に営んでいくためには、法律を遵守し、農業環境を豊かにし、環境への負荷を少なくする創意工夫をしていくことが重要だ。

 それでは、有害生物(害虫)管理と関係する法律にはどのようなものがあるのだろうか。

1) 農薬の安全な使用方法などに関係する「農薬取締法」
2) 食品中の残留農薬の基準などに関係する「食品衛生法」
3) 花粉媒介虫「セイヨウオオマルハナバチ」の使用法や、農業上有害な外来生物の駆除などに関係する「外来生物法」
4) 農業に害を及ぼす有害鳥獣に関係する「鳥獣の保護と狩猟の適正化法」
5) 未侵入の病害虫の国内持ち込みなどを規制する「植物防疫法」
6) 遺伝子組換え作物の輸入と栽培などを規制する「カルタヘナ法」
7) 有機農産物などの表示や生産技術に関係する「JAS法」
8) 環境汚染を防止するための「環境基本法」、「水質汚濁防止法」

 などが挙げられる。こんなにたくさんあって、覚えるのが大変だと思うだろうが、ポイントとなるところをかいつまんで、分かりやすく解説していきたい。 

次ページ「農薬使用者にかかわる農薬取締法の内容」へ
前ページ「害虫の形態をインターネット図鑑で確認する」へ戻る
「害虫防除の常識」の「目次」へ戻る
「ホーム」へ